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福岡高等裁判所 昭和24年(つ)288号 判決

被告人

駕野良治

主文

本件控訴は之を棄却する。

理由

原判決を見ると同判決が証拠として採用しているのは東山代駅長下寺三郞の顛末書(証檢第十四号)東山代村農業協同組合長村上仁藏の盜難届書(証檢第一号)であつて、弁護人の云う右下寺三郞の駕野重太郞宛預証(証檢第一号)右村上仁藏の右重太郞宛の受領証明書(証檢第二号)は同判決に証拠として採用されていない。從て仮に原審が右預証及受領証明書の証拠調をしたこと自体が違法であるとしても右の違法は何等判決に影響を及ぼすものでないから本論旨は控訴適法の理由とはならない。なお念の爲に書添えて置くが、証被第一、二号の如き書類でしかもこれを証拠とすることに付当事者一方に異議があつた場合でも裁判所が該書類は特に信用すべき情況の下に作成されたものだと認むるときは該書類の証拠調を爲し、これに証拠能力を與えることは刑事訴訟法第三百二十三條第三号によつて可能であつて何等違法の点はない。

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